住民にとって身近な医療者として位置づけれらる薬剤師。薬の事はもちろん、健康に関する相談も可能な医療職です。また医療に関する市民啓発に関する取り組みも行っており、薬剤師から見る市民啓発に関する実情を伺いました。
しなの薬局グループ 育成部部長
高橋 由紀子 (薬剤師)
しなの薬局グループに所属する薬剤師。所属先による薬剤師としての業務はもちろんのこと、グループを挙げテレビを活用した健康にまつわる啓発も活発に活動。また薬剤師会としても自殺予防や薬物防止に関する様々な啓発活動を実施している。
※所属等はヒアリング当時のものです
現在の業務内容のご紹介をお願いいたします。
育成部なので社員研修をやりながら広報活動も実施しています。コンビニよりも多い数ある調剤薬局と言われていますが、市民の皆さまの健康増進に寄与する調剤薬局の活用方法を提案する仕事をしています。例えばテレビ番組を活用して薬剤師への相談の仕方を紹介したり、健康イベントを開催し地域の方が医療情報を簡単に聞ける場所として提案をしています。
介護についても、介護の窓口はどこかとか、この症状であったら何科の医院に行けばよいとか、ふとした相談を薬剤師が担うことはできます。そのアドバンテージを活用して地域の身近な医療者として、住民に方に活用いただければとかんがえております。
どのような内容の啓発活動をしていますか?
まずはポリファーマシーについてです。薬は多くの方にとって命を守る必要なものです。しかしそれを7種類も8種類も、それこそ10種類以上服用している患者さんが本当にたくさんいます。多くの種類の薬を飲むことが悪いのではなく、害のあるもの、不必要なものを飲んでいないかどうかということが重要です。たくさんの薬を服用している飲んでる患者さん自体は医師が処方してくださる薬は大切なものだからと何の疑いもなく飲んでいる。そのお気持ちを優先しつつ、患者様の生活環境や症状・病態を考慮して、必要とする以上の薬が無いか、有害事象のリスクが増加していないかをドクターに提案をすることが重要な薬剤師の仕事です。減薬について医師・患者様・薬剤師、それぞれの意見・意向を確認しつつ、一番良い状態を探していく。そのような意味ではポリファーマシーの啓発は重要となってくる。
また、薬剤師会の取り組みの一環で自殺予防対策や薬物乱用防止活動の啓発の取り組みも実施しております。
薬物乱用防止については覚せい剤とか麻薬とか大麻などによる害を啓蒙するだけではなく医薬品の乱用も立派な薬物乱用に当たってします。処方薬をお渡しする薬剤師が結果としてその助長をしている可能性があるということを薬剤師が自覚を持たなければいけません。
予防の取り組みとして重要と考えることは何ですか
例えば薬物乱用に関して言えば人を孤立させない取り組みが必要と感じます。本当に薬物をしたいだけではなく、薬物を介して人と繋がれるので薬物をしているということもあります。薬物をやめられない人の中には薬が無いと人と繋がりを持てない方だったという例があります。どうして周りのみんなが薬をやめていけたんだろうと考えれば、やめた人は薬が無くても人と繋がりることができていたが、結局自分は孤独だったとか。孤独であることは社会全体の疾患だと考えます。だからそういう意味で薬物乱用を止めたいいうよりは、薬物の乱用をしてしまう環境がどうしてあるのか考えをシフトしていくことが必要です。そういう人たちが1回薬物をやったら社会から排除されるではなくて、しっかりと更生の機会があり、その人も安心して住みやすい地域になっているかどうかに焦点を当てて活動を継続していきたい。それが誰もが安心して生きていける地域であり、自殺予防にも繋がっていくと思います。