2023年4月からオンライン資格確認が原則義務化、また、今後政府が推し進める医療DX(Digital Transformation)に関しては、市民及び医師、双方において良い形を模索することが求められています。本研修会は、医療DX全般と、関連するオンライン資格確認、電子処方せん、電子カルテ標準化の概要について知識の習得のため企画/開催いたしました。
令和5年1月18日(水)19:00-21:00
ZOOM活用によるオンライン研修会
医師、歯科医師、薬剤師
医師
2022年7月に新潟市医師会のシンクタンクとして設立した新潟次世代医療科学研究協議会N[EXT]Aの主催で、オンライン資格確認をはじめとした医療DX(Digital Transformation)の研修会を開催しました。講師には、新潟大学医歯学総合病院 医療情報部 教授 赤澤宏平先生と准教授 石川卓先生をお迎えし、医療DXの基礎的なレクチャーから最新の動向までご講義いただき、今後の日常診療との関係性や、今後の多くの示唆を頂戴する会となった。
テーマ「オンライン資格確認をはじめとした医療DXについて」
座長 新潟市医師会 会長 浦野 正美
講義1「医療DXの最近の動向~ICTにより医療はどのように変わるか?~」
講師 新潟大学医歯学総合病院 医療情報部 教授 赤澤 宏平 先生
講義2「オンライン資格確認・電子処方せん・電子カルテ標準化の概要」
講師 新潟大学医歯学総合病院 医療情報部 准教授 石川 卓 先生
2023年1月18日に開催された、オンライン研修会「オンライン資格確認をはじめとした医療DXについて」を視聴して、その内容の振り返りとともに感想を述べたい。
最初に新潟大学医歯学総合病院医療情報部の赤澤教授から医療DX最近の動向について、講演をしていただいた。このなかでは、冒頭に医療DXの定義とその必要について、分かり易く説明していただいた。そして国がそれを推し進めるにあたり、3つの柱(①全国医療情報プラットフォーム、 ②電子カルテ情報の標準化、③診療報酬改定DX)それぞれについて、その意義と、現状について解説をしていただいた後に、地域における救急医療での医療DXの活用事例を提示していただいた。具体的な事例を聞くことで、医療DXについて、一層、理解を深めることができた。医療DXの推進は、医療の効率化による、医療費の削減のみならず、患者サービスの向上のためにも必須のものであり、現状では様々な課題もあるものの、将来的には、成し遂げていかなければならないものということが理解できた。
引き続き講演された新潟大学医歯学総合病院医療情報部、石川准教授からは「オンライン資格確認をはじめとした医療DXについて」と題して、オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテについて、より具体的な医療DXの実際についてお話をしていただいた。オンライン資格確認は現在の健康保険証に代わり、マイナンバーカード内の電子証明書を用いて、患者の資格情報を確認するものであるが、原則義務化となっていることに対して、新潟県でも、医療機関におけるカードリーダーの導入が急ピッチで進められているとのことである。電子処方箋は、カードリーダーの導入に引き続き、本年1月から利用が開始されているが、その概要と、メリットについて詳しく教えていただいた。電子処方箋の医療機関での導入と実用化が進められるのはこれからである。最後に電子カルテの今後について説明をしていただいた。現在、医療機関によってさまざまな仕様の電子カルテが用いられているところであるが、今後は医療機関同士のデータ交換や共有を推進するために、すべての医療機関での電子カルテの導入とともに、その標準化が推し進められていく方針が国から示され、これに関しては、今後、その具体的な方向性が明らかになってくるものと思われる。
私自身、これまで医療DXについては曖昧な理解であったが、今回、赤澤教授と石川准教授の講演を視聴することによって、医療DXとはどのようなものか、また、そのメリットと必要性、そして、我が国において具体的に推し進められている現状を、理解することができた。当院では、開院時より電子カルテを導入しており、昨年からはカードリーダーによるオンライン資格確認も稼働し、近く、電子処方箋の利用も可能になるよう準備を進めているところである。今後はこれらが本格的に動き出すことで全国医療情報プラットフォームが拡充し、その後の電子カルテの標準化により、我々の仕事がいっそう効率化され、それによる患者サービスの向上のみならず、情報が共有化されることで、患者に対して、より質が高い医療が提供できるような環境が整備されることを期待したい。