著しい高齢化に伴い、社会問題としての経済弱者の問題が露呈する。保険未加入者、生活困窮者、認知症疾患患者、身寄りなし問題など多くの課題がますます増加していくことが予想できる。督促を重ねる、分割方式での対応などは現場での対応となるが、弁護士や成年後見制度など制度活用含め多角的な対応が必要であると同時に、未然に社会保険制度等の経済的基盤の収集体制も必要とれる。
人口動態の変化の中、地域医療の提供体制は大きな変革が望まれている。まさに地域医療構想では、その地域の需要と供給のバランスも鑑み、各医療機関の役割分担の加速化と病床数の設定が急がれる。地域における病院施設の存在は大きく、これから先にも存続していかねばならない使命がある。その中で、いかに収益を確保できるか否かは命題である。そしてその根底にある患者の支払い方法は、より効率・迅速化し、未収金を未然に防ぎ収益を確保することが必要となる。
これらのことについて、いかに現場の担当者がこれまで取り組み、そして先を見据えているのかヒアリングを行いあるべき姿を探る。
2018年9月~2018年11月
・未収金の実態とその背景にあるものは?
・未収金の対応はどうしているのか?
・患者、利用者への請求方法は?
・認知症をお持ちの方の金銭管理の課題とは?
・経済的虐待の実態とその対応は?
・成年後見等の基本的業務とその活用の背景にあるものは?
・生活保護受給者の課題とは?
・無料低額診療事業とは?
・ 病院は分割支払いや後日支払いを受け入れているが、未収になることもあり弁護士との連携は欠かせない。未収金回収のための人員は常に必要である。保険の納付状況や負債の有無など事前に支払い能力に関する情報連携が欲しいが、個人情報の 壁があり、難しい
・ 本人の支払いが難しい場合に備えて押さえておきたいのは家族や身元保証人の存在である。しかし、関係性が悪い、経済的虐待を受けている等の理由により、保証人不在のケースもあり、未収で完了することもある。
・施設から入院する際は施設の管理費用に加え入院費用が必要となり、滞納しがちであるが、医療は緊急性が高いため、支払い方法の検討が後回しになる
・ 口座の管理者本人が手続きをしないとお金の引き出しが出来ないため、認知機能の低下により口座管理が難しい状態であっても、緊急性が高い場合にも対応してくれない金融機関も多い。
・生活保護費用の不適切利用があり、緊急性の高い費用を支払えない
このモデルは、病院、介護保険事業所、自治体、金融機関等の関係機関で身体情報と支払い能力に関する情報を共有出来る新しい情報ネットワークの提案であり、新しい個人の信用情報の定義になり得るものだと考えています。
つまり、個人の与信審査に「健康情報」も加味されるということです。
病院側は患者の支払い能力が分かるため、未収にならないための検討を早期に開始出来、また、銀行側も認知機能が低下している顧客への新たなサポート創出や悪徳商法の予防対策も検討可能となります。
これらのサービスを受ける側も、自身の収入にあった施設選びや介護サービスのプランを検討することが出来るため、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について考えるための材料にもなります。