食や摂食嚥下に関係する専門職に対し調査を行い、病院と施設、そして在宅における食形態や摂食嚥下の評価方法についてなど多くの課題が浮き彫りとなった。新潟市内では、摂食嚥下や栄養に関する多職種連携の会が複数あり、その共通課題の検討の場はその関係者が一堂に会する場も存在している。

はじめに

「永く自分の口から美味しく食べ物をいただく」ことは、人間の本能であり、食は健康で永く暮らしていく生命の源である。しかし、病気になり食そのものの摂取が困難となり、その摂取方法や栄養にまつわる取り組みは、病院や施設、そして在宅といった生活する場、そしてそこで関わる多くの職種で共通の課題であり、重要なテーマである。

調査概要

2018年7月~2018年年8月

1)患者の食について
①患者、あるいは対象者の食について思うことがあれば教えてください(課題など)
②患者、あるいは対象者の食について、現在工夫されていることがあれば教えてください
③患者、あるいは対象者の食について、もっとこうなれば良いなと思うことがあれば教えてください
2)嚥下食について
①嚥下食自体イメージについて
②嚥下食はどういうものが良いですか
③嚥下食に関することで、課題に感じていることは何かありますか
④嚥下食に関することで、こうなれば良いと思うことは何かありますか
3)評価について
①価が必要と思うときは患者がどのような状況の時ですか?
②評価を行うにあたり課題と感じていることは何ですか?
③課題を解決するために取り組んでいる事は何ですか?
④評価について解決しきれない課題があったとして、望むものはありますか?
4)対応について
①評価内容に対してどのような対応をしていますか?
②対応をするにあたり課題と感じている事やエピソードはございますか?
③課題を解決するために取り組んでいる事はございますか?
④解決しきれない、対応しきれない課題があったとして、望むものはありますか?
5)福祉用具・用品に改善点や「あったらいい」など望むものはございますか?
6)食品メーカーなどに改善点や「あったらいい」など望むものはございますか?

課題摘出概要

PDF 課題摘出概要ダウンロード(PDF)

・嚥下プロセスでどこに問題があるかというのをピンポイントで分析するのは困難であるため、この患者にはこの食形態が良いということを正確に把握することも困難である。
・病院で扱うような食材や魚を市販で扱っていることが少なく、調理の手間やコストなどもかかるため、入院時に患者が食べていた食形態を在宅でも継続することは非常に難しい。
・食材や食品によって水分量や粘度が違うため、同じメニューで同じ調理法をしても、同じとろみをつけられるわけではないため、調理法のマニュアル化が難しく、施設間での情報共有もしにくい。
・食形態の表現に対しての認識が病院や施設ごとで異なるため、同じ食形態の表記でも内容が各病院によって異なる。これが誤嚥性肺炎を引き起こす原因の 1 つとなっている。
・奥さんを亡くした男性や老老介護、認認介護の方は、低栄養や味が濃すぎるなどが懸念される。

さらに詳しい調査内容がご覧いただけます

未来予想図

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病院に入院中の患者のところに地域の歯科医師が訪問し、歯科診療の一環として嚥下機能の評価や嚥下機能訓練、口腔ケアなどを行うことが可能なのであれば、病院でのマンパワー欠如の課題解決に繋がります。
患者、家族、医療従事者が、本人の状態像から、この食形態ならこの人は大丈夫そうとか、落としどころが見つかるまで徹底的に話し合える「ターミナルについて考える場」は、病院と連携しており、この場では、リビングウィルの取り組みの啓発も行います。
病院に入院中、追加で支払いをすれば本人の状態に対して安全に食事提供をしつつ、本人が食べたいものを提供してくれる配食サービスです。このサービスは、風味や食感を味わいつつも安全性が担保される食を容易に店舗で購入ができ、なおかつ食に関する相談ができるところを運営しています。ここでは食事をサポートする福祉道具を試すことが可能で、使って良ければ購入や、消化器内科の病院へ、レトルトの嚥下食も卸しています。

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